はやぶさを現地でお迎え オーストラリア5日目 帰還当日 ⑧
2010/11/21 17:28:46
Tarcoolaは現地時刻で18:15。もう暗い。
元は金鉱があったというこの村は、もうほとんどの家屋が廃墟になっていた。
辺りを見渡しながら、I見氏を探しつつ進んでいると、
村に入って左側、1ブロック向こうの路地を挟んだ白壁の平屋の玄関に人影が2人、立っているのが見えた。
よく見るとI見氏じゃないようだが、こちらに大きく手を振ってくれている!
Tarcoolaの村の人が歓迎してくれているのだ!
無事についた、そして歓迎してくれた。
疲れがちょっと吹き飛んだよ。
はやぶさもこんな気持ちになってくれれば嬉しい。
そして進んだすぐ先の右手に近寄ってくる人影が!暗くて顔が見えない。でも間違いない!
人影の前に車を停めて日本語で呼びかけてみた。「お疲れさまでーす!」
「こっちこっちー」と手招き。やはりI見氏だった!
「やっと日本から辿り着きましたよー。」ウーメラ砂漠に響く日本語。
さあ、これでmixa観測隊はTarcoolaに集結した。
言い換えれば、オフ会のメンバーが揃ったのだった(笑)。
「ここの元公民館の裏手に停めていいよ。村の人に確認したから。」
I見氏の指示で、右手廃墟の裏手におかえり号を停車させた。
さすが、現地の大学に勤める研究員。頼れる男。
元公民館の裏手からは真北を見渡せる。
つまり向こうにはWPAの地平線と宵の空。
この空に、今夜はやぶさが現れる。
Tarcoola集結!!
みんなが揃ったところで、改めて自己紹介。握手を交わす。
全員で5人。S木氏、O塚氏、I見氏、Mさん、そして自分。
ツアー準備から今まで、短いようで長かった。
色々あったけれど、よくぞ今、この砂漠にこの場所にみんな無事で…(感涙)。
もうすっかり暗いので、おかえり号の外部常夜灯を点ける。
車のタープを展開して、テーブルをセットする。
おかえり号の常夜灯がイルミネーションの様に彩ってキャンプの雰囲気を醸し出した。
(撮影:O塚)
だが、気温がみるみるうちに下がっていく。
撮影機材を運び出していたが、寒い、なんてもんじゃない。
皆が重ね着をする。気温はまだまだ下がっていくようだ。
WPAはサバンナ気候に当たる。砂漠を体感。
元公民館のすぐ脇に、紺のプリメーラが停まっていた。
そしてバンパーには神奈川日産のステッカー。I見氏の愛車だ。
SAでは唯一の神奈川日産プリメーラなんだそうな。
そしてその横にテントが張ってあった。
ひょっとしてI見氏は今晩ここに野宿するのだろうか?こんなに寒いのに。
気づくと地面が真っ暗で見えない。辺りはもう闇に飲み込まれた。
…いや!見上げれば赤黄橙青白の星々!全天が満天の星空、だ。
周りに照明が無いので、こんなにハッキリと見える。
「うわー…。」
今思い出しても垂涎モノの星空。
やはりアンタレスが特に赤く見える。
任天堂DSを取り出して、星空ナビを起動した。
SAではさそり座の存在感が大きい気がする。
星の密度が高いので、アンタレスのような目印がないと他の星座の見分けがつき難い。
ましてや南半球なので、前述のとおり、日本とは逆さまだ。
DS星空ナビは世界の主な都市の夜空を表示できる。緯度の近いシドニーに合わせた。
画面の星図も反転表示、買って大正解だった。
…しかし冷える。
キャンプテーブルを広げたものの、こんなに寒いのでは、帰還まで5時間近くものんびり待てない。
折角の星空だけど、晩餐は車内にするかな…
そう思っていたら、I見氏がどこからか錆びたドラム缶を運んできた。
手には妙なドーナツ型のLEDライトを持っている。
相当明るい便利アイテムだが、この形状は宇宙との交信用だろうか(笑)。
半壊して崩れ、放置されていた廃材をドラム缶に放り込んで早々に火をつける。
おー、ワイルドだぜ。
火勢が安定してくるとテーブル周りが暖かく過ごしやすくなった。
皆で燃え盛る焚き火を囲む。
「JAXAの観測隊がここに来てるよ!2台のジープに乗って西の丘に登っていったよ。」とI見氏。
やっぱり、このTarcoolaに光学観測班が来てたんだ!
確か、近隣の丘に「カンガルーの丘」と名付けていた。
「自分も丘の方に場所を取ろうと思ってたけど、ジープを見たから。邪魔はできないよね。」
はい、それだけは禁忌。
まさかJAXAとランデブーするとは思わなかった。十二分に気をつけることにした。
そうそう、観測機器に影響が出ないように、はやぶさ突入までに焚き火を落とさなきゃ。
ジープと聞いて思い出した。
「そういえばこの砂漠をレジャーに来てるような様子のジープ数台とスレ違いましたよ。実はウーメラは観光地とか?」
「あ、もしかして、一つ前の村の辺り?…もしそうなら、多分彼らはNASAのチームだ。」
NASAのチームがこちらのルートに来ていた!
これで、ますます観測地の選定に確信が持てた。大正解だ!
「キングーニャには小さな女の子も来てましたよ。NASAはファミリーで来てるんですね、だから最初はレジャーかと。」
「さすがNASA!!」一同爆笑。
「天気もすごく心配だったんですよ。直前の直前まで意見が纏まりませんでした。今はこんなに晴れ渡ってすっかり安心ですけど。」
「あー、天候が回復するのはわかってたよ?特にこの季節の砂漠は、夜になれば一気に雲が晴れるものだから。路面状態も心配だったから、ずっと天気予報もチェックしてたし。」
I見氏かっこいい。
つづく
元は金鉱があったというこの村は、もうほとんどの家屋が廃墟になっていた。
辺りを見渡しながら、I見氏を探しつつ進んでいると、
村に入って左側、1ブロック向こうの路地を挟んだ白壁の平屋の玄関に人影が2人、立っているのが見えた。
よく見るとI見氏じゃないようだが、こちらに大きく手を振ってくれている!
Tarcoolaの村の人が歓迎してくれているのだ!
無事についた、そして歓迎してくれた。
疲れがちょっと吹き飛んだよ。
はやぶさもこんな気持ちになってくれれば嬉しい。
そして進んだすぐ先の右手に近寄ってくる人影が!暗くて顔が見えない。でも間違いない!
人影の前に車を停めて日本語で呼びかけてみた。「お疲れさまでーす!」
「こっちこっちー」と手招き。やはりI見氏だった!
「やっと日本から辿り着きましたよー。」ウーメラ砂漠に響く日本語。
さあ、これでmixa観測隊はTarcoolaに集結した。
言い換えれば、オフ会のメンバーが揃ったのだった(笑)。
「ここの元公民館の裏手に停めていいよ。村の人に確認したから。」
I見氏の指示で、右手廃墟の裏手におかえり号を停車させた。
さすが、現地の大学に勤める研究員。頼れる男。
元公民館の裏手からは真北を見渡せる。
つまり向こうにはWPAの地平線と宵の空。
この空に、今夜はやぶさが現れる。
Tarcoola集結!!
みんなが揃ったところで、改めて自己紹介。握手を交わす。
全員で5人。S木氏、O塚氏、I見氏、Mさん、そして自分。
ツアー準備から今まで、短いようで長かった。
色々あったけれど、よくぞ今、この砂漠にこの場所にみんな無事で…(感涙)。
もうすっかり暗いので、おかえり号の外部常夜灯を点ける。
車のタープを展開して、テーブルをセットする。
おかえり号の常夜灯がイルミネーションの様に彩ってキャンプの雰囲気を醸し出した。
(撮影:O塚)
だが、気温がみるみるうちに下がっていく。
撮影機材を運び出していたが、寒い、なんてもんじゃない。
皆が重ね着をする。気温はまだまだ下がっていくようだ。
WPAはサバンナ気候に当たる。砂漠を体感。
元公民館のすぐ脇に、紺のプリメーラが停まっていた。
そしてバンパーには神奈川日産のステッカー。I見氏の愛車だ。
SAでは唯一の神奈川日産プリメーラなんだそうな。
そしてその横にテントが張ってあった。
ひょっとしてI見氏は今晩ここに野宿するのだろうか?こんなに寒いのに。
気づくと地面が真っ暗で見えない。辺りはもう闇に飲み込まれた。
…いや!見上げれば赤黄橙青白の星々!全天が満天の星空、だ。
周りに照明が無いので、こんなにハッキリと見える。
「うわー…。」
今思い出しても垂涎モノの星空。
やはりアンタレスが特に赤く見える。
任天堂DSを取り出して、星空ナビを起動した。
SAではさそり座の存在感が大きい気がする。
星の密度が高いので、アンタレスのような目印がないと他の星座の見分けがつき難い。
ましてや南半球なので、前述のとおり、日本とは逆さまだ。
DS星空ナビは世界の主な都市の夜空を表示できる。緯度の近いシドニーに合わせた。
画面の星図も反転表示、買って大正解だった。
…しかし冷える。
キャンプテーブルを広げたものの、こんなに寒いのでは、帰還まで5時間近くものんびり待てない。
折角の星空だけど、晩餐は車内にするかな…
そう思っていたら、I見氏がどこからか錆びたドラム缶を運んできた。
手には妙なドーナツ型のLEDライトを持っている。
相当明るい便利アイテムだが、この形状は宇宙との交信用だろうか(笑)。
半壊して崩れ、放置されていた廃材をドラム缶に放り込んで早々に火をつける。
おー、ワイルドだぜ。
火勢が安定してくるとテーブル周りが暖かく過ごしやすくなった。
皆で燃え盛る焚き火を囲む。
「JAXAの観測隊がここに来てるよ!2台のジープに乗って西の丘に登っていったよ。」とI見氏。
やっぱり、このTarcoolaに光学観測班が来てたんだ!
確か、近隣の丘に「カンガルーの丘」と名付けていた。
「自分も丘の方に場所を取ろうと思ってたけど、ジープを見たから。邪魔はできないよね。」
はい、それだけは禁忌。
まさかJAXAとランデブーするとは思わなかった。十二分に気をつけることにした。
そうそう、観測機器に影響が出ないように、はやぶさ突入までに焚き火を落とさなきゃ。
ジープと聞いて思い出した。
「そういえばこの砂漠をレジャーに来てるような様子のジープ数台とスレ違いましたよ。実はウーメラは観光地とか?」
「あ、もしかして、一つ前の村の辺り?…もしそうなら、多分彼らはNASAのチームだ。」
NASAのチームがこちらのルートに来ていた!
これで、ますます観測地の選定に確信が持てた。大正解だ!
「キングーニャには小さな女の子も来てましたよ。NASAはファミリーで来てるんですね、だから最初はレジャーかと。」
「さすがNASA!!」一同爆笑。
「天気もすごく心配だったんですよ。直前の直前まで意見が纏まりませんでした。今はこんなに晴れ渡ってすっかり安心ですけど。」
「あー、天候が回復するのはわかってたよ?特にこの季節の砂漠は、夜になれば一気に雲が晴れるものだから。路面状態も心配だったから、ずっと天気予報もチェックしてたし。」
I見氏かっこいい。
つづく
より大きな地図で はやぶさ帰還 ウーメラ旅行記 を表示
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