はやぶさを現地でお迎え オーストラリア5日目 帰還当日 ③
はやぶさの観測地はTarcoolaと言う事で募集して、各人のスケジュールを読み込んで行程を組んでいた。
TarcoolaからGrendamboへ移動するだけでも350km近く走る。前日まで走り詰めで海外の運転に慣れたとはいえ、なによりも疲労が溜まっていた。
早朝到着のところを10:00に集合にしたのも合流組には申し訳ないが、正直、本番に向けて休養が欲しかったため。
今日はGrendamboまでの350kmにオフロードも往復で400km、その後はアデレード空港までの600kmを一気に走る。
そして、なによりも、はやぶさが帰還する日なのだ。
それに、もう一人の観測チームの一員であるI見氏とはTarcoolaで待ち合わせとなっていた。
とにかく、一番最後の条件だけは絶対外せないので、予定通りTarcoolaに向かいましょうと告げる。
そして、ちょっと気分転換にホテルの見物をしようと申し出た。
幸い、ホテルの中にはOpalの博物館もある。土産物屋も近所にあった。
せっかく世界的な観光地にいるのだ。30分ほど時間をとって各人自由時間とした。
Coober PedyはOpal鉱脈があり世界一の産出地。このホテルの下にも見学用の坑道跡が整備してあった。
多種多様なOpalの原石。赤や緑や青のモザイク模様に輝いてる。黒ベースのモザイク石もある。
手描きの坑道地図。その辺りを掘ればまだOpalが出てくるそうだ。
ホテルの門前にいくつか飲食店や土産物屋があった。
せっかくAustrariaの砂漠の真ん中に来たのだからと、O塚氏も誘ってOpal土産を探しに行く。
よくある雰囲気の店内。家族に何か無いかと物色して、絵葉書とコップ、ネックレスを買う。
合わせて50AUSほど。ネックレスのチェーンはチープなので、帰国したら交換したほうがいいよ、と店主が教えてくれた。
O塚氏はトラベラーズチェックで買い物をしていた。
なんだかトラブっているよう?店員がトラベラーズチェックをよく知らないようだ。
でも、店主がなんとか支払の手続きをしてくれていた。身体が大きくてヒゲ男の店主だが親切だった。
ただ、次回に再度トラベラーズチェックを使うことが出来るかはなんとも言えない(笑)。
店を出ると、ホテルの門にS木氏がたたずんでいた。
しまった!集合時間をオーバーしてしまった!平謝り。
今日は彼を待たせてばかりだ。
いよいよ、Coober Pedyを出発だ。
各自のトイレ等をもう一回確認しておく。水もチェック。
これからは団体行動とはいえ自己判断も重要になる。
何か訴えがあっても自分は対応できない。
行く先には砂漠しか無いのだ。
まずはウーメラ砂漠の中の唯一の給油ポイント、Grendamboを目指す。
行きにも寄ったが、ここを逃すとこの車の燃費だと砂漠を渡る事自体が不可能になる。
必ず、ココには立ち寄る。
無数の白い小山の向こうに広がる地平線。空の青と大地の赤がキレイにコントラストを作る。
今日もサングラスが手放せない。行きにあれだけ見かけた道路脇の牛の死骸が見当たらない。
こんなに長大な道路でもきちんと管理されているんだな。と、思っていたら路肩に倒れていた子カンガルーの死骸はそのまま残ってた。そしてカンガルーの脇にはハゲワシが佇んでいた。
デカい。カンガルーと同じくらいに見えた。まるで大きな黒いモップのようだった。
また暫く行くと、左手側に気象観測所。眩しく光を反射する一対の太陽電池パネルが、まるで地平線上で擱座しているはやぶさのようだ。
TCM-4を完了したはやぶさは、今晩、地球に帰ってくる。
もう、すぐ傍まで帰ってきている。
日本から持ってきた「school food punishment」のファーストアルバム”amp-reflection”を聴きながら、おかえり号は南上していく。
東のエデンや清涼飲料水のCMで気に入ったアルバムだ。ノリノリでステアリングを握り、対向車と挨拶を交わす。ドライブの楽しみだ。
進む先、空には綿菓子のような低層雲がポコポコ現れはじめた。雲と雲の間から青い空が見える。
のんびりドライブというのなら、これほど長閑な風景はない。
しかし、天候については私達はとても敏感になっていた。このまま雲が増え続け、前日のような曇天になってしまうと
ここまできた苦労がすべて消えて無くなってしまう。
「Coober Pedyで最新の天気予報をチェックしておけば良かった。」みんながそう思った。
南に向かえば向かうほど、ポコポコ雲の密度は増していく。不安もそれに比例していく。
すれ違う対向車に手を上げ、グッジョブサインを出してコミュニュケーションで気分転換を図る。大体家族連れの車は8割返事がない。寂しい。
ここでまた提案があった。
「とにかくGrendamboまで行こう。そこで天候を見極めて、Tarcoolaに行くかCoober Pedyに戻るか判断しないか?」
はやぶさが突入してくる右手側(西の方角)から沢山の雲が流れてくる。また南下するにつれてその密度も…。
「わかりました。ただ、I見氏は現地に向かって砂漠を運転しているはずなので、連絡が取れないですよ」
「Grendamboで通信が出来るのなら、I見氏にCoober Pedyを提案しましょう」
自分はなんとも言えなかった。ただ全員の負担が増す事は間違いない。
しかし、提案のようにはやぶさを見ることが出来ないのは、目的を失う事にもなる。
だが、天候のことだ、Coober Pedyが晴れていることさえ保証はない…。
ひとつだけ明るい判断材料は、前日I見氏が晴れることを予想していたことである。そして、私のウーメラでの経験則から、不思議と夜は晴れるということ。
「GrendamboでCoober Pedyの天候も確認する必要がありますね。」
この記事へのコメント
運転お疲れになりましたでしょう。
>運転お疲れになりましたでしょう。
単純に足し算すると、今になってとんでもない距離を走ったことに気が付きました。1,400kmくらい?ですね。
ちゃんとアデレードのレストランに出掛けましたけど!